<課題概要(取材源の秘匿)>
1.取材源に係る証言拒絶権について
取材源に係る証言拒絶権とは、公衆に対する情報伝播の目的で、内々の信頼関係を通じて取材した場合の取材源およびかかる関係を通じて得られた情報の開示を強要されない権利をいい、取材源に係る証言拒絶権の社会的価値を強調する立場からは、報道の自由に取材源秘匿の自由が含まれるため、証言拒絶権が認められると主張する。
すなわち、報道の自由は、表現の自由の一態様(憲法21条)として憲法上保障されるとともに、正しい報道を行うために、取材の自由も憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値するものと解されている。
そして、報道関係者の取材源は、それが開示されると、報道関係者と取材源となる者との間で信頼関係が損なわれ、将来における自由で円滑な取材活動が妨げられる。この結果、報道機関の業務に深刻な影響を与え、以後その遂行が困難となる。
そのため、取材・報道に関わる者にとって、取材源に係る証言拒絶権を認めることは、報道の自由を確保するために必要となってくる。
一方、民事訴訟法・刑事訴訟法はわが国の裁判権に服する者に証言義務を課す一方で、一定の事由がある場...