相続人が不動産登記をせずに共同相続人に勝手に処分されてしまった不動産を登記なしで対抗できるか
A判定
第2回(1)(被相続人Aの法定相続人が嫡出子BとCのみの場合)遺言のないAの唯一の財産である土地建物甲の分割前に、Cが勝手に自己名義に相続登記をした後、第三者Dに譲渡し、移転登記をした。BはDに対して、どれだけの範囲の所有権を登記なしに対抗できるか?
この問題では、遺言の効果と遺留分制度、不動産登記が大きなテーマとなっている。根拠となる関係法令及び、解釈と最高裁判例をおりまぜながら、論じていく。
遺言とは方式が定められており、遺言は民法で定める方式に従わなければならない(960条)と規定されている。それには、どのような方式があるか。
遺言の内容は内容如何により、家族その他の者に様々な利害関係が及んだり、遺言をねつ造したりすることもありうるので、遺言には厳重な方式が定められている。よって、これに従わない場合、遺言は無効になってしまう。
そのため、遺言は原則として、自筆証書(968条)、公正証書(969条)、秘密証書(970条)によるものでなければならない(967条)
では、この問題のケースで当てはめると、Aにはそもそもこれらの遺言証書もないため、B、Cに対しての特別な...