従来、国家賠償と損失補償の谷間の問題としては、適法行為による 財産権以外の侵害という事案が問題とされていた。例えば、子どもの予防接種で「禁忌者」に予防注射をしたために、その子どもが死亡したという場合である。つまり、憲法29条3項は適法行為による「財産権」の侵害であったために、「生命身体」の侵害では対応できないし、医師は正当業務行為として注射をしたのであるから、「違法行為」ということはできず、国家賠償請求の要件も満たさないのでどうすべきかという問題である。
行政法からみる国家賠償と損失補償の谷間の問題
従来、国家賠償と損失補償の谷間の問題としては、適法行為による 財産権以外の侵害という事
案が問題とされていた。例えば、子どもの予防接種で「禁忌者」に予防注射をしたために、その子
どもが死亡したという場合である。つまり、憲法 29 条 3 項は適法行為による「財産権」の侵害で
あったために、「生命身体」の侵害では対応できないし、医師は正当業務行為として注射をしたの
であるから、「違法行為」ということはできず、国家賠償請求の要件も満たさないのでどうすべき
かという問題である。
違法行為による 権利侵害 国家賠償(憲 17)
違法行為による 権利侵...