教師の技術や実践知とはどのようなものであるか、またそれを共有することの意義を整理し、さらに教育技術や実践知を表現する方法や流通させるための方法を考え、具体的に説明せよ。
授業実践場面の教師の働きかけは、一言でいえば、非常に複雑高度の大量情報処理のプロセスである。しかもその情報処理は一瞬のうちに行われ、行動に移される。教師の実力と一言でいうが、実はそれが非常に複雑で高度な情報処理と行動化の過程であることを示している。その過程に、教師の実践知がある。
授業実践場面における教師の思考過程は、「学習者認知・状況認知」「レパートリーの確認・状況判断・意思決定」「対処行動」「学習者の反応」の繰り返しである。例えば、いつものように教師がある概念について説明した。ところが、そのときの子どもたちの反応が、いつもと違って、どうもわからないという様子であるとき、教師の思考過程は次のようになっている。
子どもがわからなくて混乱しているらしい、と教師が気づくのが「学習者認知・状況認知」、そして、今、どうなっているのか状況をとらえ、自分のレパートリーを検討してもっともふさわしい方法を選び、次の対応策を決める...