技能の自動化による熟達者の優れた遂行の例

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    資料紹介

     サッカー競技においての熟達者は、所謂“プロ”と呼ばれる職業競技者であろう。彼ら職業競技者(以下、プロ)と一般競技者の差異において、筋力や走力などフィジカルな部分を除いてのもっとも顕著な違いは「パスセンス」の差に見ることが出来る。サッカーにおいて、パスの能力がもっとも要求されるポジションはミッドフィールダーである。プロのクラブチームにおいては、いかに卓越したパスセンスを持つミッドフィールダーの選手を獲得するかがチームの勝敗の鍵を握るほどである。
     卓越したプロのパスセンスと一般競技者のそれとの大きな違いは、広い視野による状況判断である。一般競技者は、自身走り、ボールを蹴るという一連のフィジカルな動きに意識が集中してしまい、自分の視界の中のごく狭い範囲にしかパスを出すことが出来ない。しかし、プロ選手はピッチ(競技フィールド)内にいるのに、まるで観客席からピッチ全体を見下ろして判断を下しているかのように広い視野で正確なパスを出す。自分の視界の外から走りこんでくる選手の数秒先の動きを予測して確実なパスを出すのだ。
     このような違いはどのようなことから起こるのか。優れたパスが出せる選手は、瞬時に視覚、聴覚、あるいは直前の状況の記憶により周囲の状況を把握し、脳のデータベースに蓄積した体験を下敷きに、さまざまな選択肢の中から適切なものを選び、パスを出す。つまり、より多くの情報を集め、瞬時に的確な判断を行うことが出来る者のみが、卓越したパスセンスを持っている選手といえるのである。

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    学習科学(’04) 2005年度前期リポート
    032-121610-0 山本卓司
    問2:技能の自動化による熟達者の優れた遂行の例
      サッカー競技においての熟達者は、所謂“プロ”と呼ばれる職業競技者であろう。彼ら職業競技者(以下、プロ)と一般競技者の差異において、筋力や走力などフィジカルな部分を除いてのもっとも顕著な違いは「パスセンス」の差に見ることが出来る。サッカーにおいて、パスの能力がもっとも要求されるポジションはミッドフィールダーである。プロのクラブチームにおいては、いかに卓越したパスセンスを持つミッドフィールダーの選手を獲得するかがチームの勝敗の鍵を握るほどである。
     卓越したプロのパ...

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