1.はじめに
現在、環境破壊は深刻な問題として世界的に認知されている問題である。日本でも93年の環境基本法を筆頭に、環境アセスメント法、家電リサイクル法などを次々と制定し、生産→消費→廃棄の一方通行型経済から循環型経済へとシフトさせるための対策を進めてきた。各市町村でもゴミ袋の有料化やゴミ分別義務化などの制度が課せられ、政府のこうした急速な環境インフラ整備によって消費者の生活の中には「リサイクル」、「エコ」をうたった商品、サービスがあふれ、消費者の嗜好、意識も環境を意識したものに変化してきている。
しかし日本環境協会の調査によれば、環境問題への関心は高いが、必ずしも環境に配慮した商品を購入するわけではない。との問いに81%がそのとおりだと思う。と答えている。環境に配慮した商品を購入できない理由としては「値段が高い」が最も大きな原因を占めており、次いで「機能や効果が見劣りする」「おしゃれな感じがしない」と続く。これらのデータから環境問題の認知(関心)が行動に結びついていないのが現状である。世界的にも認知され、個人でもその重要性を広く認知されている環境問題への対策をどうしておこなうことができないのか。
著者がまず注目したのが現在の消費者の心理状況である。凶悪犯罪が連日テレビで報道され、地域社会への不安・不信感は近年の地域交流の減少に拍車をかけている。それに加えNEET、ひきこもり、家庭内暴力などは今までの労働、家庭の存在感、価値が薄れてきている。現在の人間はものの豊かさの中に、人間同士のつながりから生まれる愛による豊かさを忘れてしまったように思われる。そのような中で人間は自分たちの後に続く未来の世代のために地球を守ろうと努力している。
本稿では環境問題解決のための最も効果的なアプローチは地球環境を破壊・汚染から守るダイレクトアプローチではなく、消費者の心理的充足、消費者が愛情に満たされる環境を整えることであるというのが本稿の主張である。
以下で消費者の心理的充足について心理学的側面からのアプローチと、消費者の環境への問題意識をどのように行動につなげるかという点について消費者行動の側面からアプローチを加えていく。
帰属提供とブランディングによる
エコロジー行動促進へのマーケティング
はじめに
現在、環境破壊は深刻な問題として世界的に認知されている問題である。日本でも93年の環境基本法を筆頭に、環境アセスメント法、家電リサイクル法などを次々と制定し、生産→消費→廃棄の一方通行型経済から循環型経済へとシフトさせるための対策を進めてきた。各市町村でもゴミ袋の有料化やゴミ分別義務化などの制度が課せられ、政府のこうした急速な環境インフラ整備によって消費者の生活の中には「リサイクル」、「エコ」をうたった商品、サービスがあふれ、消費者の嗜好、意識も環境を意識したものに変化してきている。
しかし日本環境協会の調査によれば、環境問題への関心は高いが、必ずしも環境に配慮した商品を購入するわけではない。との問いに81%がそのとおりだと思う。と答えている。環境に配慮した商品を購入できない理由としては「値段が高い」が最も大きな原因を占めており、次いで「機能や効果が見劣りする」「おしゃれな感じがしない」と続く。これらのデータから環境問題の認知(関心)が行動に結びついていないのが現状である。世界的にも認知され、個人でもそ...