国文学講義Ⅴ(近代) 分冊2

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     国文学講義Ⅴ(近代)
     参考文献・・・参考文献・・・『現代日本文学のながれ』(金沢近代文芸研究会 編 平成十九年一月二十五日 発刊)
    永井荷風の文学的特色を記し、代表作一つをあげて鑑賞せよ。
    (ポイント) ○自然主義文学の紹介者 ○反自然主義文学としての活動 ○古典崇拝者としての荷風
    (キーワード) ○荷風のアメリカ、フランス体験 ○三田文学との関わり ○下町の情緒
     永井荷風は八十年近い生涯のうちでさまざまな経験をした人物である。明治維新直後の大変動期に生まれ、以降自身の恵まれた環境の中での葛藤、波乱万丈の近代社会の中での執筆活動を行った。本レポートでは荷風の文学的特色の考察と、代表作である『濹東綺譚』を鑑賞しながら論じていく。
     荷風と文学の出会いは学生時代の病気の療養中に『水滸伝』、『八犬伝』、『東海道中膝栗毛』 などの伝奇小説や江戸戯作文学を読むことからはじまる。彼自身「十六、七のころ、わたくしは病のために一時学業を廃したことがあった。もしこの事がなかったなら、わたくしは今日のように、老に至るまで閑文字を弄ぶが如き遊惰のみとはならず、一家の主人ともなり親ともなって、人間並の一...

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