設題:法の下の平等について
テキスト:憲法入門(第4版補訂板)、井上修一
法の下の平等について
法の下の平等について述べる前に、まずは人権の歴史について述べ、その後法の下の平等について考えたいと思う。
近代憲法における人権は、すべての人間が生まれながらにして固有の、奪うことのできない権利をもつという考え方に立っている。この考え方が生まれるにあたって、ジョン・ロックの提唱した近世自然法の思想的背景をもとに、アメリカ諸邦の人権宣言が生まれ、さらに、世界に影響を与えたフランス人権宣言が生み出された。
これらの人権宣言は、個人主義、自由主義のうえに立ち、国家権力からの自由を中心におくものであった。十八・十九世紀の憲法は、人権を何らかの程度で保障する点で共通性をもっており、また、それらの自由権も、人身の自由、表現の自由、財産権の不可侵など、ほぼ同様の内容をもっていた。そして、市民層の勢力の伸長とともに、参政権もやがて国民の権利として保障をうけるようになった。
十九世紀は自由放任を基礎とする資本制社会の発展期であった。そこで、自由権のうちでも、財産の私的所有の自由と契約の自由が最も重視された。しかし、資本主義が高度化し、自由競争が貧困と失業を生みだすと、社会国家...