日本人私たち、特に若年層にはほとんど馴染みのない、『気』というものをフィルターとして中国の歴史をながめた本書は、膨大な歴史書の中でも鮮烈なメッセージを放っているように思う。私たちが知っている中国の偉人たちのほとんどが著書の中で『気』について自らの見解を述べている。さらに現存する本として最初に『気』を登場させた孔子から、中華人民共和国を成立させた毛沢東、そして現在の中央ないし地方の中国政府にいたるまで、一見形而上的で、非科学的にもとれる『気』というものの存在を認めていることは意外であった。
「『気』で読む中国思想」を読んで
中国の歴史に触れようとする時、他の地の歴史と比較して驚くのは、そのアプローチの可能性が実に多様であることだ。歴史区分の方法、文化芸術宗教思想、民族の歴史、文字の歴史、女性史、偉人の伝記など様々なテーマの組み合わせによって、その数は図り知れないものとなっている。
日本人私たち、特に若年層にはほとんど馴染みのない、『気』というものをフィルターとして中国の歴史をながめた本書は、膨大な歴史書の中でも鮮烈なメッセージを放っているように思う。私たちが知っている中国の偉人たちのほとんどが著書の中で『気』について自らの見解を...