課題内容
明治・大正期の文学作品の中から一つを選び、それを熟読・分析する中から、次の課題のいずれかに答えなさい。
②「男」と「女」とが、どのように書かれるかを見て、「文学」の役割について考察しなさい。
なお、当方、2013年採用の教員採用試験に合格しました。お買い上げいただいた方でご希望であれば、簡単にではありますが、採用試験におけるアドバイスもさせていただきます。
明治末期のリアリズム文学として評価されている、有島武郎著の『或る女』に注目した。
この作品は、一九一三年に刊行されたもので、日清戦争を経て新しい時代に突入しはじめた明治末期の日本において、自由奔放に生きる主人公・早月葉子の悲劇的な人生を描いている。医者の父とキリスト教信者で熱心な活動家である母の間に生まれた葉子は、恵まれた家庭環境と妖艶な美女という理由から、欲しいものは何でも手に入れることができ、恋愛も手のひらで男性を手玉に取るテクニックを備えるほどになっていた。そのため、必然と自意識が極度に強くあった葉子は、近代的自我の解放を目指していく。つまり、これまでの女性が通ってきた人生の道を避け、あらゆる男性との関わりを元に反逆的で執着や苦悩を抱える孤独な戦いをしながらも、本能のゆくままに生きていくことを選択するのである。だが、最終的には破滅へ堕ち、自身の人生を悔やみながら病死してしまうのである。
結末はフィクションではあるものの、主人公・早月葉子は小説家国木田独歩の最初の妻である佐々城信子をモデルとして描かれている。しかし、実際には、作者の有島が「私は自分の性の苦痛をあの作で叫んだのです」...