平成が20年続くことになり、1980年代が20年以上も過去のことになった。しかし現代日本を見る上で、直接の過去として、非常に重要なものだと考えられる。今現在起こっている事象の元を辿ると、80年代に行き着くことが多い。この2つの時代は非常に似ていると考えていいだろう。
1980年代初頭、日本の政治はやや混乱気味の様相を呈していた。まず、福田内閣の跡を継いだ大平正芳首相が1980年の総選挙直前に急死した。戦後初めて現職の首相が死亡し、自民党内は混乱を来たした。当時の自民党内では各派閥の勢力争いが続くばかりで、国を引っ張っていけるほどの力があるとみられる実力者がいなかったのだ。そんな中で、各派閥の妥協点として鈴木善幸首相が立てられた。彼はただただ党内の力学において「問題がない」ことを眼目として選ばれた首相であるがために彼自身が「首相としての力量不足は自覚している」と発言するような有様であった。そのような状況を経て、1982年には中曽根内閣が成立する。
この中曽根内閣も、田中角栄元首相の影響下に成立したものであり「田中曽根内閣」などと揶揄されたように誰しもがまたすぐに倒れると考えていた。し...