国文学基礎講義 分冊1

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    国文学基礎講義 分冊1
     『蜻蛉日記』において、兼家に対する作者の心は結婚前と後でどのように変化するのか。「越えわぶる」の歌、「思ふこと」の歌、「さだめなく」の歌に現れる女心の変化にも触れながら説明しなさい。
    〈ポイント〉
     世間一般の男性とは少し違った求婚や結婚前後の歌のやりとりに注意。
    〈キーワード〉
    ○「便なきこと」 ○「声なかるしそ」 ○「さしぐめるにのみあり」 「三夜しきりて見えぬ時あり」 ○「心えで」
    「なげきつつひとり寝る夜のあくるまはいかに久しきものとかは知る」の百人一首の歌で知られる『蜻蛉日記』は、作者藤原道綱母が一九歳の頃に兼家と結婚し、その二一年間の結婚生活を描いた日記である。兼家には正妻の時姫がおり、作者は藤原兼家の二番目の妻という立場から兼家の愛情を独占しようと苦悩したが、兼家に対する作者の心情は結婚前後でどのように変化していくのか述べていく。
     本作は作者が兼家から求婚されるところから始まるが、兼家からの求婚の意の伝え方は作者の父親に直接、真偽が定かではない形で仄めかしたことや、身分などの違いから作者は「便なきこと」と取り合わなかった。すると馬に乗った使者に...

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