2021年度 第2回科目試験 答案用紙 2021年6月6日(日)
8時限17:10~18:10
(新刊テキスト ・旧刊テキスト)※該当する方に○をしてください。新旧刊の区別がない場合
は新刊テキストに〇をしてください。
【問 題】
東日本大震災のあと、転入してきた小学校四年生の女児。徐々に学校生活にも適応してきたが、休み時間に時折、一心不乱に階段を駆け登るのが気になる。あなたが担任だとしてこの行動をどう考え、どう対応するか述べなさい。
【解 答】
同じ状況下であったとしても、1人ひとりの感じ方や受け止め方は異なるため、全く「同じ」体験にはなり得ない。安易に悲しみやトラウマを共有しようとするのではなく、その1人ひとりの心に目を向けながら、理解しようと努力をしつつ、一緒にいて寄り添うことが大切であると考える。
この児童の場合、東日本大震災によって発生した津波のトラウマによる行動であることが推察できる。自分が体験したトラウマを再体験しているのか、象徴行動(自分ではよく分からないが無意識に繰り返してしまう行動)なのかを考える必要がある。この児童の場合、数回に渡り行い、また一心不乱な様子からも後者の象徴行動であると考えられる。児童本人は津波から逃げようとした恐怖感が残っていて今も逃げようとしてしまうために、この行動をとっているとは意識をしていない。しかしこれも児童が出しているサインの一つであるため、この行動をしていることに気が付いたら、見て見ぬフリをすることなく声をかけることが大切であると考える。その際は「忘れなさい」「まだ不安なのかな」という言葉は避けなければならない。言葉をかけることで“ちゃんと気づいているよ”と児童本人にサインを送り返し、安心感をもたせたい。
あわせて家庭・保護者との連絡を密にすることで、情報共有を行う。情報共有を行うことで、家庭とのバランスを取りながら双方向から支援をすることができる。
学校としては、学年職員だけでなく全職員にこの事実を周知する。担任としてはもちろん、それ以外の教員もこの児童と関わることで学校が安心・安全な場所であると思うきっかけとしたい。場合によっては医療・心理などの専門家に繋ぐことも必要である。
整理番号
科目コード
TT0091
科目名
教育相談の理論と方法
学籍番号
氏 名
1