環太平洋大学 通信教育課程 D4006 第1課題 合格レポートです。
あくまで参考資料として活用ください。
私が選んだ作品はJ.D.サリンジャー(J.D.Salinger 1919-2010)の『ライ麦畑でつかまえて』(“The Catcher In The Rye”1951)である。70年も前に出版されたこの本は、いまだに若者の心をつかんで離さない。累計6,500万部、そして今も毎年25万部ずつ売れているこの本の最大の魅力は、主人公の視点から物語が語られる1人称小説だということだと思う。“I”って本当は誰なんだろう、“you”って誰に向かって話しているのだろう。この問いにはいくつもの解釈があり、このことが読者一人一人の心にそれぞれの物語が焼き付いて離れない理由だろう。私には、この“I”も“you”もサリンジャー自身のことを指していると思えた。この作品に対する私の解釈は、心に傷を負ったサリンジャーが、初めて自らと向き合い、この先どのようにして傷を癒し生きていくべきなのか自問自答した話だというものである。
この本は、ホールデンという主人公の16歳の少年が、クリスマス休暇を前にして名門の私立高校から放校処分を言い渡され、ニューヨークの両親の家にも帰らず3日間にわたってマンハッタンを放浪する話であ...