充実した福祉サービスを提供していく上で、社会福祉士には利用者の様々な権利を守ることが期待されます。
このレポートでは、社会福祉士に求められる『権利擁護』の役割について具体的な例を用いてまとめてあります。
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『社会福祉士に期待される、権利擁護の役割について。』
1.権利擁護の必要性について
そもそも権利擁護(アドボカシー)とは何か。まずは「権利擁護」の概念を確認したいと思う。「権利擁護」とは、契約法上の市民的権利だけを意味するものではなく、国際人権規約や各国際準則、憲法第25条・13条の要請を受けた社会的権利を含む高齢者・障害者の人権を確保する具体的な支援のあり方と、それを可能とする物的・人的基盤整備を意味する。すなわち、高齢者と障害者が、個人の尊厳と自己決定の尊重された豊かな生存権保障のために、必要かつ適切な介護・医療サービス・財産管理・所得保障・移住の確保・就労支援・社会参加などの生活支援全般について、各種の福祉サービスとその他の社会資源を十分に、そして主体的に利用することができる利用者支援のあり方と、その基盤整備の総体と捉えられるだろう。
社会福祉の役割は、決して要援護者の立場で代弁することだけではない。むしろ当事者の主体的な自己決定を促進する“エンパワメント”(福祉サービスの利用者が自らの生活に関わる事柄について、もっと力を発揮し、これらを自らがコントロールできるようにするという...