M6701 文学概論 第2設題のレポートです。A判定でした。
レポート作成の参考にしてください。
『評論で見る明治大正文学史』の各項目の冒頭に掲載されている論文を一つ選び、文学史的意義、および社会・歴史との関係性について論述しなさい。
このレポートでは、『評論で見る明治大正文学史』の「四 写実主義(一)」に掲載されている、坪内逍遙の『小説神髄』を選択し、『小説神髄』の文学史的意義、および社会・歴史との関係性について述べていく。
『小説神髄』とは、一八八五年~一八八六年に松月堂より全九冊の分冊形式で刊行された、坪内逍遥の文芸評論である。その主張は、文学の自律性を説いて功利的文学観を退け、小説の主眼を第一に人情、第二に世態風俗のありのままを模写することにあるとした。戯作や勧善懲悪の文学の衰退を招き、尾崎紅葉らの写実派の台頭に影響を与えるなど、日本近代文学の黎明期における最初の理論書としての役割を果した。
また、作者の坪内逍遙は、『小説神髄』と同年、『当世書生気質』を発表し、その中で写実主義の実践を試み、新しい文学の指導的人物となる。明治二十四年には雑誌『早稲田文学』を創刊し、文芸評論を展開する。その際、森鴎外と写実と理想をめぐり「没理想論争」を交わした。演劇の革新での功績も大きく、演...