占有の意義 報告書
事実
被告人と被害者Yとは、ともに新聞専売所に住み込みで働いている同僚であったが、Yは、ある日の夕方、集金を終えて同専売所に戻り、従業員が自由に出入りする一階食堂で集金かばんを開けて集金額を数えるなどするうち、同僚従業員二人と一緒に近所の弁当屋に弁当を買いに行くことになったが、その際、その食堂にいた被告人が、Yに対し、被告人の弁当も買ってくるよう依頼するとともに、「かばん持ってお前買いに行くのか」と言ったことから、Yは、買い物から帰って来るまでの間被告人に対し、上記の趣旨で、「これ預かってください」と言って集金かばんを手渡し、同僚二人とともに買い物に出掛けた。
この集金かばんには、Yが当日集金し、その明細を明らかにしうえ直ちに雇い主である専売所長Sに引き渡すべき現金17万4400円が入っていたが、その時刻にたまたまSの姿が見えなかったため引き渡すことができずにいたものであった。また、そのかばんは、中のチャックが閉まっておらず、施錠もされていなかったが、上蓋が閉まっていて、その止め金もかけられていた。
被告人は、Yらが外出するや間もなく集金かばんの上蓋を開け、在中...