佛教大学2016年度 教職 国語 書道 A評価 参考に。
教科教育法国語2 第二節題
「学習を構想することを主題として、「伊勢物語」所収「筒井筒」(23段)と「梓弓」(24段)を比較しながらそれぞれ教材分析をし、「比べ読み」を中軸とした読解単元を構想しなさい。」
はじめに伊勢物語第二十三段、筒井筒の幼な恋の物語である。源氏物語の中で同様な幼ない者同士の恋としては、源氏の子息夕霧と同じ御殿で祖母に育てられた、雲井雁との幼な恋があり、その影響関係も常識的に指摘されていると思われるが、源氏にも伊勢物語初段の初冠男のイメージも宿されているとすると、初恋のイメージも引出されて来るし、帚木三帖にわたる奔放強引な中の品の女人遍歴、そしてそのバックにドラマトゥルギーで言えば、パラレリズムの手法で暗示されているらしい、上の品の女たちとの恋愛ないし情事、そして若紫巻自体にも若紫への恋着事件と同時進行で描かれる、藤壷との重苦しい極秘の、しかし不敵不逞な不倫の情事に、理性を忘れてのめり込む源氏の惑乱が、余りにも印象強く描かれる為、源氏にはあたかも情事ずれした蕩児であるかのようなイメージが、先入観として漂うせいか、若紫の君に恋着する源氏の若さはつい忘れられてしまう...