<課題概要(租税法律主義と国民健康保険料)>
1.租税法律主義と健康保険料
租税法律主義を定める憲法84条は、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」旨規定する。
この租税法律主義の原則は、国民の納税の義務を定める憲法30条においても規定されているように、租税は国民の代表機関である国会が定める法律によって決定される旨を定めている。これは、租税は国民に対して直接の負担を求めるものであるから、必ず国民の同意を得なければならないとしたものであり、近代諸憲法の「代表なければ課税なし」の思想を反映したものである。
そして、租税法律主義が健康保険料に適用されるか否かの問題を検討するにあたっては、まず、「租税」の意義が問題となる。ここで、「租税」とは、国または地方公共団体が特別の役務に対する反対給付としてではなく、その経費にあてるために、その課税権に基づいて一般国民に対して一方的・強制的に賦課し、徴収する金銭給付とする(固有の意味の租税)のが通説である。
このため、健康保険料は、保険給付という反対給付があるのであるから、上記「租税」...