優、A評価。 判例の変遷をふまえながら、転用物訴権について論じなさい。
民法/債権各論
設問:
判例の変遷をふまえながら、転用物訴権について論じなさい。
1)転用物訴権とは、「契約上の給付が契約相
手方のみならず第三者の利得となった場合に、
給付をなした契約当事者がその第三者に対して
不当利得返還請求をすること」iと定義される。
この転用物訴権について明文の規定はないが、
これを認めることは妥当だろうか。
2)転用物訴権は、不当利得の法理を利用する
ことで契約当事者以外の第三者に対する請求権
を認めようとする議論である。そこで、まず不
当利得について考える。
不当利得とは、「法律上の原因なしに他人の
財産または労務により利益を受けている者が一
方でいて、他方でそれによって損失を被ってい
る他人がいるとき、前者から後者に対して利得
を返還させる制度であ」iiり、この具体的な要件
は、①一方に「受益」がある、②他方で「損
失」が発生している、③「受益」と「損失」に
因果関係がある、④それについて「法律上の原
因」がないこと、の4点である。
そして、不当利得は、財産法が本来の役割を
果たさなくなった局面で機能する補完的な位置
付けをなし得る。
以上をふまえ、転...