労働法1(団体法)

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    資料紹介

    C株式会社は、市場動向の変化への対応が遅れたため、その業績は、必ずしも良好ではなく、長らく低迷を続けていたところ、2008年秋以降のいわゆる金融危機の影響により、その収益が一層悪化し、同年12月には、人員整理もやむなしとの判断に至り、その旨を同社労働組合cに提案したところ、c組合は、たとえ賃金は下がっても、組合員の首切りは避けたいとし、すでに春闘段階で成立していた冬季一時金協約の破棄を受け入れるとともに、2009年1月以降、組合員の月額基本給を一律10%引き下げることを内容とする労働協約を締結した。この労働協約の効力如何?

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    当該労働協約は、C株式会社とC労働組合の間で団体交渉の結果成立した合意であり、労働条件等を設定すると共に、協約自治の枠組みを定める重要な機能を持つ。また、労働組合法において、労働協約に、これに反する労働契約の部分を無効とし、無効となった部分および労働契約に定めがない部分を補う効力を認めており、これにより労働契約の内容を規律している(労組法16条)。

    それでは、冬季一時金協約の破棄と2009年1月以降の月額基本給を一律10%切下げることを内容とする労働協約、つまり、不利益変更の場合にも規範的効力が及ぶのか。

    まず、労働協約は労働契約を有利にも不利にも拘束するのか、それとも不利な場合には拘束しないのか、いわゆる有利原則の問題を考える。有利原則が肯定される場合、労働契約に定められる労働条件を労働協約によって不利益に変更することは不可能となる。しかし、有利原則について、現行法上明文の規定はない。また、ドイツのように産業別レベルでの労働条件の最低基準を定めたものと違い、わが国は企業別労働組合であり、労働協約は、企業内団交に基づく企業内協約としてその企業で働く組合員の労働条件について合意し...

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