日大通信教育学部の刑事訴訟法の課題について、ポイントにそって整理して説明する合格リポート
1 強 制 処 分 法 定 主 義
197条1項但書で、「強制処分は、この法律
に特別の定のある場合でなければ、これをす
ることができない。」として強制処分法定主義
を定めている。そこで、この強制処分は法律
上の規定がなければいけないのか、なくても
一定の要件のもと許されるのか争いがある。
後者は、強制処分法定主義は令状主義の要
請と同旨で、既存の強制処分は法定の令状に
従う。根拠規定を欠く新しい強制処分は令状
主義の解釈から導かれる要件を実質的に満た
せ ば 許 さ れ る と す る 。
思うに、憲法31条は、国民の重要な権利・
利益を奪う処分の適否は国民自身が国会を通
じて明示的に決断すべきとの趣旨を含む。そ
こで、憲法31条との関連のもとに刑訴法197
条1項但書を解釈すると、人の重要な権利・
利益を本人の意思に反して制約する強制処分
は国民の代表による明示的な選択を体現する
法律上の根拠規定がないと許されないという
こととなる。したがって、強制処分としての
性格をもつ以上197条1項但書の適用を受け、
強制処分は法律に規定がない限り...