日本民法における、指名債権の譲渡と指図債権の譲渡の方法の違いについてまとめたものです。
「指名債権の譲渡と指図債権の譲渡」
指名債権とは、特定の債務者が特定の債権者に対して履行することを想定された一般の債権のことであり、基本的には頻繁に譲渡されることを想定していないから譲渡が難しい。一方で指図債権とは、手形や小切手などのように、証書のある債権で、証書に記載された債権者またはその者に指図された権利者に対して弁済すべき旨を定めたもので、転々流通することを前提としているから、譲渡は容易である。
そもそも債権譲渡とは、債権をその同一性を変じることなく第三者に移転することであり、譲渡人(旧債権者)と譲受人(新債権者)との間の契約で行われるものであるが、指名債権の場合と、指図債権の場合とでは、その譲渡に際して具体的にどのような違いが出てくるのかを以下に見ていきたいと思う。
指名債権の譲渡の場合
指名債権の譲渡契約は、規定はないが、物権(民法176条)における場合と同様、当事者間の合意の意思表示のみによって成立すると解され、譲渡契約書の作成等は法律上必要な要件ではなく、また譲渡契約の成立には、債務者の関与を必要としない。債務者は対抗要件の際に問題になるのみである。
この契約は債権譲...