初めにインフォームド・コンセントが確立されるまでの動向を述べ、次に、エホバの証人輸血拒否事件の分析と検討を行い、エホバの証人輸血拒否事件の判決が及ぼしうる影響と、その射程について考察を行うという構成になっております。
憲法、人権、宗教、情報、医療、倫理、社会、問題、インフォームドコンセント、エホバの証人輸血拒否事件
医事法演習 春学期 レポート
―患者の自己決定権・エホバの証人輸血拒否事件の考察―
Ⅰはじめに
春学期を通じて、医事法を学習してきて、一番私が興味をもった論点が、説明義務が問題となる諸類型で学習した、治療方法が一つしかないまたは一つもない場合になされる生き方を決するための説明として、自己決定権を行使するための説明が必要であるとされた、エホバの証人輸血拒否事件でした。
エホバの証人輸血拒否事件は、憲法13条自己決定権においても有名な判例であり、憲法で学習した際に、信仰上の理由による個人の自己決定権が尊重されるようになってきているのは良い事であるなと感じた一方で、生命という重大な価値の危機を目の当たりにしているお医者さんに対して、そのような自己決定権を尊重せよというのは少し酷ではないかというようにも感じました。
このように、以前は医療における医師と患者の立場は一方的に医師によりなされるものに近かったと言えますが、近年、医療において患者の自己決定権が認められるようになってきました。その傾向によって、患者本位の医療が期待できるのは大変好ましいことだと言えますが、単純に良いことばかりでは...