ヨーロッパ環境論 2008.--
1960年代以降のヨーロッパにおける新しい問題・新しい価値観
<環境問題への意識の芽生え>
ヨーロッパにおける「環境問題」というものへの意識の始まりの一つに「自然保護」がある。19世紀後半、「自然」に対して人類は「破壊者」として位置づけられるようになる。この「自然保護」の動きはイギリスやドイツなど、産業的に成熟していて豊かな国の、一部の知識人たちにおこった。このときは、「この風景が失われてしまうのは悲しい」「かわいい動物がいなくなるのは悲しい」などといった、感情的・情緒的側面からのスタートであった。
1960年代、環境問題の認識が突然世界規模化する。
環境問題を認識する際に代表的なものは、自然科学による「科学的根拠」というものである。たとえば、大気汚染の場合は人間が必ずしも認識・判断できるようなものではない。大気汚染を認識するためには、それ相応の手法・技術や、程度を把握するための数値などが必要となる。こういった方法だと主に「数値」で環境問題が取り上げられるため、非常に客観的な印象を受ける。しかし、“ここ...