「適応・不適応の心理的機制、またそれらからひき起こされる特徴的行動について説明せよ。」
「適応」とは、人が生きていくためには、環境や状況に応じて、自らの生存に有効な習性を示したり、生理的変化ができることをいう。そして、日常の生活においては、家庭や近隣、学校や職場といった社会的環境に対しての心理的・文化的「適応」が重要な意味を持っている。つまり、「適応」とは、個人と環境との相互作用において、両者の間に何らかの一致ないしは調和の状態がある場合をいう。しかし、通常、欲求のすべてを満たすことはそのときの社会的状況や個人的価値観にそぐわない場合が多い。そのような場合、葛藤や欲求不満の心理が生じるのである。
葛藤とは、個人の内部に相反する2つあるいはそれ以上の目標が同時に生じて、しかも、それらに同じくらいの関わり合いを望んでいる自分を感じたときの、動きのとれない状況のことである。葛藤には、「接近-接近型」、「回避-回避型」、「接近-回避型」の3つに分かれている。この3つの型は基本型だが、我々はこれらが複雑に絡み合った葛藤を経験している。葛藤状況が解決されず、長期間緊張状態が続くときには、情動的混...