薬物療法

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    薬物療法
    今日、統合失調症や躁病には抗精神病薬、うつ病には抗うつ薬、神経症には抗不安薬といった薬物が主として用いられているが、これらのほとんどは向精神薬と総称されている一群の薬である。向精神薬として初めて臨床で使用された薬は、1952(昭和27)年に登場した抗精神病薬のクロルプロマジンである。
    クロルプロマジン以前に用いられていた薬は、精神機能を興奮または抑制するという薬理作用しかもたず、人間の複雑な心の働きに影響を及ぼす作用はなかった。したがつて、実際に用いられた薬の多くは、主として抑制(麻酔)作用によって不安興奮の鎮静化を図るものであった。つまり服用すれば、眠くなる、眠ってしまうといった意識状態の変化を伴うものであった。
    1)向精神薬の特徴
    向精神薬の効果には個入差はあるが、一般に常用量では、意識状態の変化を伴うことなく、人間の感情・思考・意欲など、いわば人間の心の働きに作用するといつた特徴をもつている。
    たとえば、沈んだ気分を引き立てたり、幻覚や妄想による不安や興奮を鎮めるとともに、幻覚や妄想そのものに対する効果もあり、あるいは意欲を取り戻すといった臨床作用をもっている。
    このよ...

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