疾患の経過と看護
患者には消化・吸収に関する症状にとどまらず、全身倦怠感や死に対する不安などが生じる。
障害の増悪には精神的要素もかかわっているため、患者の身体的・心理的苦痛を考慮した看護を行う。
1.急性期の看護
急性期の症状
消化器疾患の急性期には、消化管の出血、穿孔、閉塞、壊死などが生じる。多臓器不全や、出血によるショック状態、極度の痛みや発熱、感染、アシドーシスなどにより、生命危機状態に陥り、救急救命が必要となる場合もある。
外科的治療の前後に突然、症状が悪化したり、あるいは慢性的に経過していた疾患、慢性肝炎など)が急性増悪する場合などがある。
生体侵襲が大きく、治療やケアが十分でなかった場合は、死に至ったり、病状が慢性化することになる。
生命危機回避
症状や処置などによって起こる苦痛を緩和し、不安を軽減させて心身の安静を図るとともに、生命の危機を回避するため、症状の悪化を早期に発見して治療できるように努める。この時期の看護の適否が、回復を大きく左右することになる。
栄養状態が悪化しているときの救急処置は、治癒遅延や2次感染を引き起こすリスクが高い。また、処置のためのドレーン・...