膵臓の検査
膵臓は後腹膜腔に存在し、膵管という細い管を通じてのみ十二指腸と交通するという解剖学的位置関係から、たとえ病巣があっても非常に診断しにくい臓器である。
従来行われているアミラーゼなどの血液生化学的検査に加え、超音波検査、腹部CT、逆行性膵胆管造影(ERCP)、さらにMRCP、FDG-PETなど、画像診断技術が進歩し、膵疾患診断の精度は増した。
しかしながら、なお、膵臓癌の早期診断はおろか、切除可能な膵癌の発見すら困難な状況である。
1.血液および尿検査
1.膵酵素の逸脱
膵管の閉塞機転があると、膵管内圧の亢進により、アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン、エラスターゼⅠなどの膵酵素が血中に逸脱し、血中のこれらの酵素値が上昇する。そのため、急性膵炎、慢性膵炎の診断、膵臓癌のスクリーニング検査として利用される。
血性アミラーゼ値
血清アミラーゼ値の上昇は、膵疾患以外にも、唾液腺疾患、肝硬変、胃・十二指腸穿孔、腸閉塞、急性腹膜炎、妊娠などでも認められるので、鑑別を要する。
血中アミラーゼ活性
血中アミラーゼ活性は、膵疾患で増加する膵臓由来のP型のほか、膵臓以外の臓器で増加する唾液腺由来の...