胆汁の構成成分
有機物質
主な成分は,①胆汁酸②リン酸③コレステロール,④胆汁色素,であり,すべて肝細胞から分泌される。
胆汁酸
胆汁酸は固形成分の50%を占める。肝細胞でコレステロールから生成される。ヒトの胆汁酸の主なものは,コール酸,キノデオキシコール酸,デオキシコール酸,リトコール酸の4種である。胆汁酸のカルボン酸基,および水酸基は親水性であるが,ステロイド核およびメチル基は疎水性である。胆汁酸の濃度が上昇すると,胆汁酸分子が集合してミセルを形成する。ミセルとは集合体の中心部において分子の疎水部がお互いに結合し,表面の親水部は水に溶解しているゲル状態をいう。ミセルの水親和性を示すのは水酸基とカルボン酸基であるが,水酸基の数の多い胆汁酸のほうが水溶性が高い。またカルボン酸基の解離定数は7なので,胆汁や十二指腸のpH下では遊離胆汁酸のカルボン酸基は解離せず,水に溶けない。しかし胆汁酸の多くは,タウリンやグリシンと結合した結合胆汁酸として分泌される。結合胆汁酸の解離定数は,遊離型胆汁酸よりはるかに低いので,胆汁酸,十二指腸内のpHで十分解離して水に溶解する。
リン脂質
固形成分中2番目...