「適応・不適応の心理的機制、またそれらからひき起される特徴的行動について説明せよ。」
人間が欲求を満足させ、生きていくために環境の諸条件と調和していく行動や態度のことを適応という。一方で人間は、ただ環境や状況に従って受身的に反応するばかりではない。自己の欲求や願望を実現し、より活発な生の展開を目指して、環境を意図的に変革したり、状況を操作したりする場合もある。人間は、能動的に環境に働きかけて変革するといった積極的な適応を行うことができるのである。適応とは、個人と環境との相互作用において、両者の間に何らかの一致や調和の状態がある場合をいう。
適応の元となる心理的な働きについてみていく。まず人間が欲求を満たすためにとる行動の原動力となる内的状態を「動機(動因)」と言い、この動機によって人間が目標に向かって、ある種の行動に駆り立てる心理的な作用を「動機づけ」と言う。次に、個人の内部に相反する2つ以上の目標が同時に生じて、それらに同じくらいの程度の関わり合いを望んでいるが、動きのとれない状況を「葛藤」と言う。この葛藤状況が解決されず、長時間緊張状態が続く時には、情動的混乱を招くことがある...