教師論
担当教授者 森下恭光
1単位目
1、教員養成の歴史について論述せよ。
教員養成の歴史は、明治5年に頒布された「学制」に始まる。同年、東京に最初の教員養成機関である師範学校が設立され、まもなく各府県に広がった。翌明治6年に制定された「小学校教師心得」により、教育をすることは模範を示すことと同義と考えられ、わが国の師範教育の理念を方向づける結果となる。また、明治14年に公布された「小学校教員心得」においては、それまでの欧化政策の一環としての教育から儒教主義による道徳教育への展開が見られ、師範学校で養成される教員に求められる資質・能力についても徐々に明瞭化していく。
明治19年には「師範学校令」が公布され、これとその関連規定により、わが国の師範教育制度は本格的に整備されるようになった。当時の文部大臣森有礼は国民教育の根本は師範教育にあると確信し、師範教育において、その生徒に備えさせるよう教育すべき最重要課題として、「従順・友情・威儀」を位置づけた。師範学校は高等・尋常の2等となり、卒業生の服務期限は卒業後10年となる。生徒の学資は公費で賄われ、私費生は認められなかった。また全寮寄...