児童心理学
担当教授者 塚田紘一
1単位目
1、横断的方法・縦断的方法、発達研究法としての事例研究法について説明しなさい。
児童心理学とは、子どもの心理的発達を扱う発達心理学の1分野である。児童心理学の研究目的は、新生時期から児童期における子どもの発達的変化の過程や、それにかかわる変数および因果関係を科学的・実証的に明らかにし、その変化のメカニズムを説明することである。ただし、対象が子どもであるため研究の方法が制約され、研究方法の選択にも十分な配慮が必要となる。以下では、主要な発達研究法として、横断的方法・縦断的方法、そして事例研究法について述べたい。
子どもの加齢に伴う発達的変化を追跡し、その一般的傾向や発達にかかわる変数、因果関係を明らかにしようとする時、横断的方法、縦断的方法が用いられる。横断的方法は、異なる年齢層の子どもたちのグループに対し、ほぼ同時期に同様の測定や検査等を行うことで、各年齢群の代表値を算出して一般的な発達過程を明らかにするやり方である。この方法の長所は、サンプリングが比較的容易で、短時間のうちにあまり経費をかけることなく必要な範囲の資料を収集することができ...