2009年度 集中Ⅰ 社会福祉方法論1 得津慎子

閲覧数1,704
ダウンロード数25
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 全体公開

    資料の原本内容

    1.ソーシャル・ケースワークの展開過程について説明してください。
     ソーシャル・ケースワークは、何らかの問題を抱えるクライエントの存在から始まる。インテークにおいて、受容と共感によりラポールを築き、「誰が何に困っているのか」の明確化を図り、場合によってはリファーする。情報不足ならば、サービス利用者が今後に希望を持てるように働きかけ、アセスメントに繋げる。アセスメントでは更なる情報収集をし、ニードの明確化を図り、それに基づくプランニングにおいて、目標を設定し、計画を立てる。達成しやすい課題設定で小さな「成功」の繰返しにより、すすめていくことが有効である。またアセスメントもプランニングも利用者との協働で行い、情報開示や利用者の自己決定に配慮をする。次の介入はプランニングの実施段階で、社会資源の更なる活用、利用者が主体的に問題解決できるように働きかけ、モニタリングにおいて、利用者や関係者からのフィードバックを受け、それまでの働きかけが目標に近づくよう機能しているか評価する。モニタリング、アセスメント、介入の循環を繰返し、変更が必要ならば再アセスメントと再プランニングを行い、先の循環を繰返す。そして事後評価において、利用者や関係者からのフィードバックや記録から、これまでの過程を総合的に分析し、効果測定を行う。上述の繰返しを経て、問題が解決していなくても利用者が自律的に自立しうる状況や、その機関の機能がニードを満たさなくなり他機関へリファーとなるとき、援助の終結となる。このとき中途半端な感じを与えない準備や、利用者や関係者が自己評価を上げられるような働きかけが必要である。加えて利用者とこれまでの過程全体を振り返る終結面接や、リファーされた他機関との連絡などのフォローアップが理想的である。
    2.本講義を通して、ソーシャルケースワークにあたって、もっとも大事だと思うことについて述べてください。
     目指すは個人のウエルビーイングである。
    ソーシャルケースワークには、援助者の私とある特定のサービス利用者が存在する。そしてお互いが「違う」人間であり、ゆえに「援助者はこの利用者のことを知らない」。この援助者としての人間観がソーシャルケースワークにあたって、もっとも大事なことと考える。利用者が何を経験してそのとき何を思ったか、どんな考え方で、いま何に関心があり、何をしたくて、何を大切にしているのかなどを、援助者は推測や想像はできるが、それが正解なのかその利用者に聞かなければわからないのである。しかもその推測、想像は援助者の経験に基づくものであるから全くの見当違いの場合もあるし、単なる社会的正義の押しつけの場合もある。この援助者のあるべき人間観を聞きなれた表現で言うならば、基本的人権の尊重であるし、福祉の世界では「バイステックの7つの原則」に通じ、そしてポストモダン・アプローチに通じる。この人間観であれば援助者もひとりの人間であり、ゆえに例えば利用者と上手な関係を結べないことも当たり前となる。結べなければ「違い」を認めて、この先の相互作用のうちに結べばよい。よく「福祉の心は思いやり」と言われる。この考え方では上手な関係を結べないと援助者は利用者に迎合しかねず、そして無理がかかって離職を招くのではないだろうか。「思いやり=手をさしのべる」も大切であるが、これでは思いやるほうの都合に左右され、思いやれなくなれば終わり、傷つく。この「違い」を認めた人間観を中心に、専門職としての技術と知識を加えた三位一体で援助に当たることが利用者、ひいては援助者のウエルビーイングにつながると考える。

    コメント1件

    social-help 販売
    2009年度 社会福祉方法論1のために書きました。批判していただけると嬉しいです。
    2009/05/21 12:04 (15年5ヶ月前)

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。