93回問135
麻酔した動物の血圧測定実験に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
アドレナリンを静脈内注射すると、血圧は一過性の上昇ののち、投与前の値より低くなった。この血圧の低下は、アドレナリンの代謝産物がアドレナリンβ1受容体に作用したためである。
フェントラミンを前もって静脈内注射したのち、アドレナリンを静脈内注射すると、血圧は下降した。これは、フェントラミンが血管のアドレナリンα受容体を遮断したためである。
アセチルコリンを静脈内注射すると、血圧は一過性に下降した。この現象は、アセチルコリンが血管平滑筋のムスカリン性アセチルコリンM1受容体を刺激したためである。
アトロピンを静脈内注射したのち、大量のアセチルコリンを静脈内注射すると、血圧は上昇した。これは、アセチルコリンが交感神経節と副腎髄質のニコチン性アセチルコリン受容体を刺激したためである。
解答 1
× アドレナリンは血圧上昇作用(α1作用)と血圧降下作用(β2作用)を有するため、静脈内注射すると、血圧は一過性の上昇ののち、投与前の値より低くなる。 この血圧の低下は、アドレナリンがアドレナリンβ2受容体に作用したためである。
○ フェントラミンはα1受容体遮断薬である。 フェントラミンを静脈内注射後、アドレナリンを静脈内注射すると、血圧は下降する。これは、フェントラミンが血管のアドレナリンα1受容体を遮断し、アドレナリンのβ2作用が優位に現れたためである。 なお、この現象はアドレナリンの血圧反転と呼ばれている。
× アセチルコリンを静脈内注射すると、血圧は一過性に下降した。この現象は、アセチルコリンが血管平滑筋のムスカリン性アセチルコリンM3受容体を刺激したためである。
○ アトロピンは抗コリン薬であり、ムスカリン性アセチルコリン受容体においてアセチルコリンと競合的に拮抗する。 アトロピンを静脈内注射後、大量のアセチルコリンを静脈内注射すると、血圧は上昇する。これは、アトロピンの作用により、ムスカリン性アセチルコリン受容体が遮断され、交感神経節と副腎髄質のニコチン性アセチルコリン受容体を刺激したためである。
a b c d 1 誤 正 誤 正 2 正 正 正 誤 3 誤 誤 誤 正 4 正 誤 正 誤 5 誤 正 正 誤