民事手続法判例
研究判例・・・最判H18・12・21(→ 2つの事件)
~破産管財人の善管注意義務~
-裁判所の判断-
○ 事件Ⅰ(第276号事件 質権者から債権回収の委託を受けたX1のYに対する訴え)
事件Ⅰでは、①旧破産法164条(85条?)の善管注意義務違反による損害賠償の成否 ②不当利得返還請求権の成否 が争点となった。
〔第一審〕
①について
破産手続 は破産債権者の公平な配当を目的とするものであるとしつつも、破産者が形成してきた法律関係を無視して手続を進めることはできず、担保権設定者が担保権設定契約上の担保価値維持義務 (本件では賃料債務の不履行による価値の減少が問題に)を負うことを前提に破産管財人 も同義務を負う。また、破産開始決定 後解除前の賃料債権は、旧破産法47条7号(現147条1項7号)の財団債権 であるから、賃料・共益費を破産財団から現実に支払うべきである。
以上から、破産財団に支払いの余力があるにもかかわらず、合意解除の際に敷金返還請求権 と相殺処理をしたのは、破産管財人の善管注意義務違反にあたる、とした。
ただし、原状回復工事・残置物処理費...