刑法 親族相盗例
~親族関係の人的関係~
問題:Aの息子Xは、AがBから預かっていた宝石であることを知りながら、Aに無断で持ち出し売却した。
知識まとめ
〈問題の所在〉
刑法244条には「配偶者、直系親族または同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪またはこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する」と規定されているが、そもそも、身分関係は民法の規定が基準となる。親族相盗とするためには、身分関係がいずれかにある必要があるのか、問題となる。
〈見解〉
① 犯人と所有者および占有者との間に親族関係を要するとした見解(最決H6・7・19など)
…窃盗罪の保護法益を占有および所有の両者とする考えによるとこのような帰結になりやすい。
② 犯人と占有者との間とする見解(最判S24・5・21など)
…所持説を採るとこの見解になりやすい。
③ 犯人と所有者との間とする見解
…本権説を採るとこの見解になりやすい。
解答
(上記①の見解に依拠した答案)
1 Xが、Aの占有する宝石を窃取した行為は、窃盗罪(刑235条)の構成要件に該当する。しかし、AがXの父親であることから、親族相盗...