憲法論文答案練習 裁判所
~憲法判断回避の準則~
【問題】
「権力分立及び民主政の観点から、原則として裁判所は国会及び内閣の判断を尊重すべきであると言える。また、その現れとして憲法判断をせずに事件を処理できる場合は、憲法判断を回避すべきである。」との見解を論評せよ。
【考え方】
・・・司法消極主義を肯定した上で、「憲法判断回避の準則」が妥当であるか問題となる。
1)否定説=憲法判断先行説
・・・ある法律が合憲であることがそれを事件に適用する前提であること、憲法98条1項・99条からして裁判所は常に憲法判断する義務を負っていると考えるべきであること等を根拠として否定し、違憲の疑いのある法律を適用する場合は、裁判所は憲法判断をしないで結論を出すことができないとする見解。
2)肯定説
・・・司法消極主義、違憲審査権が具体的事件の解決のために認められたものであること等を根拠として肯定する見解。
3)限定肯定説
・・・一定の範囲で憲法判断回避の準則を肯定する見解
→ 具体的には、
①司法消極主義の立場、裁判所が、経験的素材が不十分なまま憲法判断をしたことになるのはかえっ...