「法の下の平等について」
自由と平等
近代の平等の考え方は、人の生まれによって差別する封建的な身分制度を否定するものであり、「個人の尊厳」を最も重要なものと考え、「民主主義」を基礎とする平等思想に立脚するものである。憲法上の平等原則は、平等思想を具体化したものであり、内容は、「国家はすべての人を平等に扱わなければならない」ということである。つまり、国家が特定の人やグループを特別扱いしたり、あるいは不利に扱ってはならない、ということである。
中世では、フランスなどで封建身分制度によって区別されるような社会であった。日本においても江戸時代の士農工商などの身分制度があり、生まれによって職業や住む場所が決められていた。多くの哲学者や政治家たちが不平等を是正しようと試みたが、法律上の差別禁止や平等な取り扱いにまで発展しなかった。ところが、近代に入ると、当時の啓蒙思想家たちは、「人は生まれながらに平等である」と説き、国家はすべての人を等しく取り扱うべきだと主張した。特に「生まれ」による差別の禁止がその中心的な内容であり、こうした「生まれ」による差別の禁止が中心的な課題とされた背景には、日本の江戸...