「大型スーパー」と「100円均一」に見る移民大国カルフォルニアの現実、そして日本という国

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    資料紹介

    僕がカルフォルニの留学生活で見た、移民大国カルフォルニの現実と、そこから浮かび上がる日本のという国についてです。

    資料の原本内容

    「大型スーパー」と「100円均一」に見る移民大国カルフォルニアの現実、そして日本という国
    僕の週末の日課は、近所の100円均一でひと通り食材を揃え、他を補うために道路を隔てて向こう側にあるスーパーへ行くというもの。そして僕は毎週末に必ず「貧困の地」から「裕福の地」へと行き来しているような不思議な感覚に襲われます。貧困の国は100円均一(99cent shop)で、裕福の国は大型スーパー(Smart&Final)。私にはこの二つの店を隔てる大きな道路が、まるで二つの国をわけ隔てている国境のようにすら思えるのです。日本人だからこその感覚なのでしょう。それは決して大袈裟ではなく、日本国内では想像を絶するような格差社会が、そこにはあります。

    僕が利用している99cent shopの客層8割以上が低所得層の移民であり、彼等は「生きるため」にこの店を利用しています(残りの2割は私のような節約留学生や、特に生活には困っていないけど節約したい主婦など)。初めてこの店に来たとき、それはもう衝撃的でした。外には必死に物乞いを行うホームレスが居て、店内は雑然とした空気が漂い、品揃えは日本の100円均一に比べると格段に悪く、店内に居る客達からは英語「以外」の言語がどこからともなく聞こえ、店員もみな移民と思われる人達ではありませんか。カルフォルニアは地域や店がそれぞれの人種感覚を漂わせていますが、この99cent shopはまさにヒスパニック/ラティーノで成り立っている店だったのです。

    一方、大きな道路を隔てで向かいにあるSmart&Finalの客層の人種構成は白人・黒人・アジア人まで多種多様です。大きく異なる点は、みんな身に着けているものが並以上であり、使用言語がほぼ英語であるということ。この大型スーパーは非常に綺麗で、品揃えも豊富で、店員の対応もしっかりとしています。

    この著しい差を生んでいる一番の原因は何か?と、Host Momに尋ねたことがあります。返ってきた答えは「ACADEMIC LEVEL」学歴でした。今、アメリカで学位を持たない人が単純労働以外の職に就くのは非常に困難なのだそうです。移民達の中でもお金を持たない者は大学に通うことが出来ず、残された選択肢は単純労働のみです。そしてそこから這い上がるのは、日本に比べると非常に難しい現実があります。また、カルフォルニアには不法滞在移民も数多く居ます。特にメキシコ経由で不法に国境を潜り抜けカルフォルニアに移り住んでくる移民は後を絶ちません。彼等は公に働く権利を持っていないので、不法日雇いの仕事をしたりしてなんとか暮らしています。彼等の大半は英語を読むことすら出来ないので、アメリカで出来ることも自ずと限られてきます。学校に通ったことすらない人達が沢山いるのです。日本で学校に通ったことの無い人に会うのは非常に難しいですよね。

    また、アルバイトで稼いだお金を、ブランド物・ファッション・その他の趣味などに大量に注ぎ込む若者達が居る国は本当に稀なのだという事実をどれだけの人が自覚しているでしょうか。アメリカで学生のアルバイトと言うと、学費を稼ぐためであったり生活費を稼ぐためである場合がとても多いです。そして日本にはフリーターという言葉が根付いていますが、それは日本に正社員以外の人材を雇ってまかなえるだけの経済力があるからです(現在の日本経済はフリーター層に大きく依存する企業経営スタイルであることも大きな要因の一つとなっています)。学生達は新卒採用されないとまるで人生が終わったかのような文句をよく聞きますが、アルバイトでも十分に生きていけることに変わりはありません。日本ではフリーターでもある程度の水準を保ちながら楽しく暮らすことが出来ます。ただ、外の現実と比べることが無いので、多くの人がフリーター生活は不幸せなことだと思い込んでいるように感じます。しかし、こちらの低所得者層の人達が喉から手が出るほどに羨む自由な選択肢がまだまだ残っているのです。

    とても印象に残っている会話で、僕が発展途上国からアメリカへ学びに来ている学生に「卒業後はアメリカで働いてみたいとも考えている」と言ったら・・・「なんで!?日本は十分豊かな国だから働き口なんでいくらでもあるでしょ?わざわざ第二言語を使わなければいけないアメリカで働きたい意味が分からない・・・」と真顔で言い返されました。僕はこういう日本の感覚を一瞬で覆されえるたびに、日本という国が世界的に見るととても幸せで平和な場所であることを、カルフォルニアに住んでから幾度となく思い知らせれました。そしてこういう事実に直面するたびに、社会格差・経済格差が生み出している問題について理解して、対応していかなければなと思うのです。(これは国ではなく地域・場所による、というご指摘を頂きました。有難うございます。)

    以上のように、二つの国を比べ始めると大きな違いが浮かび上がってきます。そしてその違いがなぜ生まれているのかを考え始めると、お互いの国について少し深く理解できるようになります。また、両国が抱えている問題に気付くことが出来るようになり、新たな問題解決の方法を生み出すきっかけとなります。こうした新しい視点を得ることは留学経験や海外生活などから得ることが出来る一つの大事な資産だと思います。僕が上記のような体験をしなければ、この文章を書いて多くの方へ伝えようとすることも無かったでしょう。皆さんが海外に行った際にそこに広がる世界をリアルに垣間見て、感じ、想うことは何でしょうか。

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