課題:会計構造論の意義について、その代表的な見解である静態論と動態論について説明し、収益費用アプローチおよび資産負債アプローチについてまとめなさい。
会計構造の解釈には、貸借対照表による財産表示を会計の中心的目的とみなす解釈と、損益計算書による期間損益計算を会計の中心的目的とみなす解釈とがある。通常、前者の解釈を静態論、後者の解釈を動態論という。
また、貸借対照表能力とは、いかなる性質を有する項目が貸借対照表に計上されるのか、つまり貸借対照表に計上すべき項目の要件に関する問題である。
この問題を考えるうえで極めて重要なのが、貸借対照表をどのように捉えるかである。これは、すなわち貸借対照表の見方ないし貸借対照表の目的である。これについては、次の2つの見方が対立する。貸借対照表について、ある種の状態表示機能を強調するのが静態論とよばれる会計思想である。これに対して貸借対照表の利益計算的側面を重視するのが動態論とよばれる会計思想である。
静態論のなかには、企業の解散を前提とし、解散時に返済されねばならない負債と、それの塡補手段として役立つ換金価値を有する資産だけとが貸借対照表能力をもつという考え方が、かつて存在していた。この考え方はたしかに完全に否定されているが、これだけが静態論のすべてではない。企業の継続を前提とした財産表示の観点か...