操作3−1と操作3−2では指示薬が違う。この操作では強塩基と強酸の中和滴定なので滴定曲線を考えると、直線部分がpH3 〜 11のところまで広範囲にのびているのでフェノールフタレインでもメチルオレンジでも変色域は含まれる。直線の範囲内であれば変色したときの滴下量はどちらも同じはずである。それなのに差がでてしまったのは、判断のしやすさ、しにくさだと考えられる。フェノールフタレインは無色か赤かという判断なので比較的見極めやすい。ところがメチルオレンジだと赤色と黄色の間には、赤に近いオレンジと黄色に近いオレンジなどがあり判断が難しいといえる。
操作3−2と操作3−3では塩酸を滴下するのと、水酸化ナトリウム溶液を滴下するのかの違いがある。指示薬はどちらもフェノールフタレインであるが、色が消えるまで滴下する3−2と、色づくまで滴下する3−3ではやはり判断による誤差はでてしまうようである。
操作3−4は弱酸と強塩基の中和滴定なので中和点が塩基性側にずれる。中和では塩の加水分解によって塩基性となるからだ。滴定曲線で考えると、直線部分がpH5〜11のところまで短くなり、ここに変色域が含まれるのはフェノールフタレインのみである。
一般的に言われている誤差の原因は温度の影響と、滴誤差と、指示誤差である。
a 温度の影響
「20℃以外の温度で操作すると標準液とガラスの膨張収縮による誤差を生じる。」(注1)だから、温度補正をする必要がある。この実験は2日に分けて操作を行っているし、昼間から夕方まで操作を行っていたので気温の変化も考えられる。標準液によってもこの補正は異なる。
b 滴誤差
ビュレットから流出する液は連続的に流出するのではなく滴を形成して不連続に落ちる。
中和滴定
実験期間 2005年 5月19日(木) - 5月25日(水)
実験時間 約7時間
要約
操作1では、ビュレットの1滴の滴下量を推定した。10滴滴下し、1滴あたりの平均値は 0.052 cm3 であった。操作2では、炭酸ナトリウム0.0501 mol dm-3(容量分析用標準物質)を一次標準として塩酸を標定した。指示薬はメチルオレンジを用いた。5回の滴定をおこない、その平均値は10.50 cm3 だったので塩酸のモル濃度は0.0955 mol dm-3 となった。
操作3では、操作2で標定した塩酸で濃度未知の水酸化ナトリウム溶液の濃度を4通りの方法で求めた。一つ目は、メチルオレンジを指示薬とし、二つ目はフェノールフタレインを指示薬として用いた。三つ目は塩酸に水酸化ナトリウム溶液を滴下した。最後は水酸化ナトリウム溶液を直接フタル酸水素カリウム(特級試薬)で滴定した。モル濃度はそれぞれ0.0981 mol dm-3
0.0913 mol dm-3 , 0.0978 mol dm-3 , 0.0996 mol dm-3 となった。
実験
試薬の調製
溶液 ...