ベトナムからの新しい枠組みで入国してくる介護福祉士候補者受入れを前に、その特徴や課題を分析した。25年度中に国際厚生事業団が発行予定のベトナムEPA看護師・介護福祉士人材マネジメント手引き(仮題)の参考文献のひとつ。
「JVEPA介護福祉士入国にあたっての私見」
【はじめに】
我が国の辞典を開いても、「介護」とは「高齢者・病人などを介抱し世話をすること」と記載されており、これを起点にして介護観を醸成し、その変遷を迎えて来た。そう考えると、介護の概念のない国はないと言ってよい。ベトナムの国民の中にも「介護」は厳然として存在するものである。
日本式の介護概念、あるいは日本と同じ介護観があるかないかということなら、国民性も歴史も違うベトナムと日本の介護が同等のものであるはずもない。国民皆保険等の社会保障制度が確立して以降に少子高齢化を迎えた日本と、経済発展途上にある現状のベトナムは、例えるならば「富んでから老いた国」と「富む前に老いた国」。そこに介護概念、介護観の差があるのは当然のことである。
少子高齢化が進行しているベトナム社会にとって、介護を含む高齢者福祉問題が今後より深刻になっていくことは想像に難くないが、ヴォルフェンスベルガーが「ノーマライゼーション理念は、あらゆる人間社会に共通する普遍的なものだが、生活様式・生活条件の異なる諸国または時代によって相違する」と「社会福祉サービスの本質」で述べ...