崩壊しはじめたアメリカの一極支配体制
現在、アメリカの強さと弱さの両面が同時にあらわれ、アメリカの一極支配体制の強化とその瓦解がはげしく展開されつつあります。この動きは、今後、21世紀は世界的範囲で、かつ加速度的に進んでいくことが予想されます。
国際政治におけるアメリカの影響力は大きく低下しています。アメリカは、これまで国連を通して国際政治にたいする支配を強めてきました。アメリカは安全保障理事会常任理事国として拒否権を行使するなどして、国連のなかでもっとも大きな影響力をもってきました。とりわけ、旧ソ連崩壊後、国連におけるアメリカの影響力はかつてなく強まっています。
しかし、国連を通したアメリカの世界支配にも大きなかげりがみえてきました。アメリカの国連分担金の滞納額は、国連の通常予算よりも多い十数億ドルに達し、そのため、国連は財政難で十分機能しえなくなってきています。
1992年以降の6年間に、各国に派遣され勤務中に死亡した国連職員は219人にのぼっています。うちもっとも多いのがルワンダで59人、ついでパレスチナのガザ地区で11人、ソマリアで9人、カンボジアで7人となっています。各国の...