現代の標準的英語と米語の相違を具体例を挙げて 論ぜよ。
英語はバルト海沿岸に居住していたアングロ人、サクソン人、ジュート人がブリトン島に移住したときから始まり、その後ノルマン人の征服による影響を受けた。この歴史的背景は、そのまま現在のイギリス英語の方言分布に残されている。イギリス各地で使用されている口頭言語は、発音、アクセント、言い回し、語彙等の面でアメリカ英語よりも方言内の地域方言による差が大きい。イングランドで使われる英語や方言を総括してEnglish Englishといい、他にウェールズ英語、スコットランド英語、アイルランド英語などの方言系統がある。方言独自の語彙や言い回しは、世代が進むにつれて均一化される傾向にあるが、発音、アクセントの違いは健在である。
また、イギリスは伝統的に階級社会であり、上流階級とそれ以外の階級が使用する英語が異なっていた。しかし、1960年代以降イギリス各地で使用されている地域独自の発音の地位が上がり、今ではわずかな貴族階級に固い文語表現を使用するだけで、階級差がはっきりしなくなった。標準英語(Standard English)の語彙や言い回しを自然に使用する者はイギリス人口の12-15%と増加する傾向にあり、上流階級の伝統的な標準発音であるBBCの容認発音を使う者はStandard Englishの使用者の1/3以下、イギリス人口の約3%程度である。
アメリカ合衆国はイギリス人の移住によって建国され、当然米語はイギリス英語に由来するが、移民が渡って以来、イギリス英語の影響は受けず独自の発展をしてきた。ヨーロッパ各国の民族が入り乱れて入植し、西部へ移動していったという背景があり、「人種のるつぼ」といわれるように様々な民族から社会が構成されているため、黒人地域で黒人英語が発達したように各民族の語彙を利用するなど、地域的な方言よりも社会構成上から生まれる社会方言の方が顕著に見られる。また、新しい事物・事象を表現するために、従来の英語に新語や複合語、派生語が加わり、「米語」と呼ばれイギリス英語とは区別されるようになった。
イギリス英語とアメリカ英語の違いには、発音、つづり、文法・語法、語彙・会話表現などの側面がある。
まず発音について、イギリス英語とアメリカ英語の発音上の違いは広範囲に及ぶが、特徴のひとつとして、アメリカ英語に残る古音がある。これはイギリス英語からは遠い昔に消えてしまったり、他の発音に変わってしまった発音が、アメリカ英語に残っているものである。代表的な例をあげると、car, deerなどの[r]、fast, bathなどの[]、hot, gotの[]、necessary, dictionaryなどの-aryにおかれる第2アクセントなどがある。
[r]については、いわゆる「巻き舌のr音」である。アメリカ英語では[r]を巻き舌で響かせるが、イギリス英語では一般に発音しない。carの発音は[k]〈米〉-[k]〈英〉となる。次に[]については、fast, bathなどの下線部は、アメリカ英語では[]だが、イギリス英語では[]である。box, gotの下線部も、アメリカ英語では[]だがイギリス英語では[]となる。necessary, dictionaryなどの-aryにおかれる第2アクセントは、アメリカ英語では[]、イギリス英語では第2アクセントがなくなり、[]と発音される。これらはいずれも、かつてはイギリスでも使われていた発音で、初期の移住者たちが
現代の標準的英語と米語の相違を具体例を挙げて 論ぜよ。
英語はバルト海沿岸に居住していたアングロ人、サクソン人、ジュート人がブリトン島に移住したときから始まり、その後ノルマン人の征服による影響を受けた。この歴史的背景は、そのまま現在のイギリス英語の方言分布に残されている。イギリス各地で使用されている口頭言語は、発音、アクセント、言い回し、語彙等の面でアメリカ英語よりも方言内の地域方言による差が大きい。イングランドで使われる英語や方言を総括してEnglish Englishといい、他にウェールズ英語、スコットランド英語、アイルランド英語などの方言系統がある。方言独自の語彙や言い回しは、世代が進むにつれて均一化される傾向にあるが、発音、アクセントの違いは健在である。
また、イギリスは伝統的に階級社会であり、上流階級とそれ以外の階級が使用する英語が異なっていた。しかし、1960年代以降イギリス各地で使用されている地域独自の発音の地位が上がり、今ではわずかな貴族階級に固い文語表現を使用するだけで、階級差がはっきりしなくなった。標準英語(Standard English)の語彙や言い回しを自...