製剤・薬物動態学実習
消化管からの吸収―――In vitro 反転腸管法
目的
In vitro 反転腸管法による薬物吸収実験を行い、消化管の構造と吸収の関連、吸収の様式やその変動要因、およびそれらが薬物体内動態と薬効発現に果たす役割について理解を深める。
実験方法
(1)使用動物 Wistar系雄性ラット
体重200g 24時間絶食したラットを用意。ネンブタールで麻酔後、小腸の空腸及び回腸を摘出し実験に使用した。摘出した腸管で反転腸管を作成した。
(2)薬物 スルファメチゾール 分子量270.33 pka=5.45
抗菌薬(サルファ剤)。0.1mMおよび0.5mM溶液で実験を行った。
溶媒にはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH=7.4を用いた。
(3)薬物吸収実験
調整した0.1mM及び0.5mMスルファメチゾール溶液(PBS)を30mL測り、50mL三角フラスコに入れ、37℃に加温した。また、約5mLのPBSも同様にして37℃で加温した。
作成した2個の反転腸管の小プラスチック管からストッパーを外し、注射器で加温したPBS1mLを注いだ。
これを37度に加温しておいた0.1mM及び0.5mMスルファメチゾール溶液の中へ各々浸し37℃で30分間インキュベーション(温度を一定に保つ)した。
30分後、注意深く反転腸管を取り出し、外部の水分をろ紙で吸い取った後、メートルグラスに反転腸管内部漿膜側溶液を移した。その際溶液が1mLであることを確認した。
(4)薬物定量法
検量線を作成するためにブランクとしての精製水と0.1mM、0.2mM、0.3mMのスルファメチゾール溶液を用意した。これらをピペットマンで正確に50μL採取し、試験管に移した。また、2つの反転腸管内部漿膜側溶液もピペットマンで試験管に移した。
これの試験管に1mLの精製水を加えた後、1M塩酸1mL、0.1%NaNO20.25mL加え、室温で15分間放置した。
さらに1%スルファミン酸アンモニウム溶液を0.5mL加え、室温で5分放置した。
0.1%津田試薬0.25mLを加え、混合した後、波長545nmで吸光度を測定した。
結果
(1)実験での吸光度の結果
スルファメチゾール濃度(mM) 吸光度 補正 ブランク(0) -0.304 0 0.1 -0.211 0.093 0.2 0.032 0.336 0.3 0.009 0.313 回腸 0.1 -0.176 0.128 回腸 0.5 0.139 0.443
(2)反転腸管内部に吸収された薬物の濃度
検量線により、以下のように求められる。
0.1mMスルファメチゾール・・・0.126mM 0.5mMスルファメチゾール・・・0.440mM
(3)薬物吸収率(%)
薬物吸収率=Cin30 / Cout0×100 (%)
0.1mMスルファメチゾール・・・0.126 / 0.1×100=126%
0.5mMスルファメチゾール・・・0.440 / 0.5×100=88%
(4)薬物吸収速度 v
v=Cin30 / t (mM / hr)
0.1mMスルファメチゾール・・・0.126 / 0.5=0.252mM/hr
0.5mMスルファメチゾール・・・0.440 / 0.5=0.88 mM/hr
(5)吸収速度定数 k
v=k・C ⇔ k=v / C hr-1
0.1mMスルファメチゾール・・・k0.1= v0.1/ C =0.126 / 0.1=1.26mM/hr
0.5mMスルファメチゾール・・・k0.5= v0.5/ C =0
製剤・薬物動態学実習
消化管からの吸収―――In vitro 反転腸管法
目的
In vitro 反転腸管法による薬物吸収実験を行い、消化管の構造と吸収の関連、吸収の様式やその変動要因、およびそれらが薬物体内動態と薬効発現に果たす役割について理解を深める。
実験方法
(1)使用動物 Wistar系雄性ラット
体重200g 24時間絶食したラットを用意。ネンブタールで麻酔後、小腸の空腸及び回腸を摘出し実験に使用した。摘出した腸管で反転腸管を作成した。
(2)薬物 スルファメチゾール 分子量270.33 pka=5.45
抗菌薬(サルファ剤)。0.1mMおよび0.5mM溶液で実験を行った。
溶媒にはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH=7.4を用いた。
(3)薬物吸収実験
調整した0.1mM及び0.5mMスルファメチゾール溶液(PBS)を30mL測り、50mL三角フラスコに入れ、37℃に加温した。また、約5mLのPBSも同様にして37℃で加温した。
作成した2個の反転腸管の小プラスチック管からストッパーを外し、注射器で加温したPBS1mLを注いだ。
これを37度に加温しておいた...