1 はじめに
郵政民営化は、小泉首相が改革の本丸として大々的に推進している問題にもかかわらず、国民にとって、非常に分かりづらく、関心を持ちにくい問題である。郵政民営化には、多くの問題が絡まっている。なぜ民営化を行わなければならないのかという点も、弊害が直接目に見える形となって示されないので、分かりづらい。また、民営化した場合、具体的に郵政事業や、国民の生活がどのように変わるのかも予想図を描きづらい。
この状況は、2005年1月に政府がインターネットで実施したアンケートにも表れている。郵政民営化は、政府が取り組むべき課題の第8位にしかならなかった。ちなみに上位であったのは、「年金・福祉改革」「景気・雇用対策」「治安・防災対策」であった。国民の側からしてみれば、問題点が直接目に見えづらい郵政民営化よりも、老後の心配や現在の不景気のほうが、重要課題なのだ。
このような郵政民営化に強い関心がもたれているとは言いがたい状況のなかで、人々が郵政民営化をどのように考えているか、特に郵政民営化の賛否に影響を与えているのは何かを把握することによって、郵政民営化への理解を深めるためにはどうすればよいかを今回の調査から考えていきたいと思う。
2 郵政民営化について
2.1郵政事業の現状
現在、郵政三事業(郵便・郵便貯金・簡易保険)は郵政公社によって運営されている。郵政公社は、国営で職員は国家公務員のまま、全国2万4700の郵便局網は維持され、350兆円の資金を持つ郵貯・簡易保険事業もそのまま受け継がれた。一方、企業会計原則に基づく民間並みの会計処理が行われ、初代総裁には、生田正治氏(元商船三井会長)が就任した。民間出身の生田総裁の下で改革が進められ、郵便貯金は大幅増益となり、郵便事業も赤字から黒字へと転換した。
郵政民営化の賛否の規定要因
1 はじめに
郵政民営化は、小泉首相が改革の本丸として大々的に推進している問題にもかかわらず、国民にとって、非常に分かりづらく、関心を持ちにくい問題である。郵政民営化には、多くの問題が絡まっている。なぜ民営化を行わなければならないのかという点も、弊害が直接目に見える形となって示されないので、分かりづらい。また、民営化した場合、具体的に郵政事業や、国民の生活がどのように変わるのかも予想図を描きづらい。
この状況は、2005年1月に政府がインターネットで実施したアンケートにも表れている。郵政民営化は、政府が取り組むべき課題の第8位にしかならなかった。ちなみに上位であったのは、「年金・福祉改革」「景気・雇用対策」「治安・防災対策」であった。国民の側からしてみれば、問題点が直接目に見えづらい郵政民営化よりも、老後の心配や現在の不景気のほうが、重要課題なのだ。
このような郵政民営化に強い関心がもたれているとは言いがたい状況のなかで、人々が郵政民営化をどのように考えているか、特に郵政民営化の賛否に影響を与えているのは何かを把握することによって、郵政民営化への理解を深...