ケースワークの先行形態は、1869年にロンドンで設立されたCOS(Charity Organization Society)に見出す事ができる。1869年はビクトリア朝の繁栄の末期にあたり、ロンドンでは、乞食、浮浪者、母子世帯、孤児などが増大していた。彼らに対して公的には救貧法があったが、救済の機能を期待できるものではなかった。このような状況の中で、慈善の組織化と改善が叫ばれ、ロンドンCOSが設立された。このロンドンCOSは、貧困者を救済の「価値のある貧民」と「価値のない貧民」とに区別し、前者のみを対象とし、後者は公的院内救済の対象と考えた。道徳的に改善の見込みのある前者に対しては、友愛訪問員が家庭を訪問し、貧困の原因とされた道徳的欠陥の発見に努め、友情に基づく適切な助言を与え、貧困者が貧困から抜け出せるように援助した。この考え方の背景には、貧困を個人の責任と考える自由主義的貧困観があった。
ロンドンCOSは独自の活動として貧困者世帯への友愛訪問をおこなった。貧困者の調査や面接相談、家庭訪問という現在の社会福祉援助の原型となった点で、社会福祉の近代化と職業化の歴史にとって極めて重要なものであった。この友愛訪問を母胎として、ケースワークが成立した。
1877年、COSは、イギリス人牧師ガーティンによって、イギリスの形態にそって、アメリカにも導入された。当時のアメリカは、自由放任主義と社会ダーウィン主義が主流であり、植民地以来の伝統と結びついて、「自助」が強調されていた。
現在までつながるケースワークが理論化されたのはアメリカCOSの友愛訪問からであった。友愛訪問を行った友愛訪問員は、「施与ではなく友人として」を標語とし活動した。この活動により、貧困の原因は道徳的頽廃ではなく、不慮の事故、失業、低賃金、疾病によるものであり、個人的要因よりも社会的要因が重要と理解され始めた。
ケースワークの先行形態は、1869年にロンドンで設立されたCOS(Charity Organization Society)に見出す事ができる。1869年はビクトリア朝の繁栄の末期にあたり、ロンドンでは、乞食、浮浪者、母子世帯、孤児などが増大していた。彼らに対して公的には救貧法があったが、救済の機能を期待できるものではなかった。このような状況の中で、慈善の組織化と改善が叫ばれ、ロンドンCOSが設立された。このロンドンCOSは、貧困者を救済の「価値のある貧民」と「価値のない貧民」とに区別し、前者のみを対象とし、後者は公的院内救済の対象と考えた。道徳的に改善の見込みのある前者に対しては、友愛訪問員が家庭を訪問し、貧困の原因とされた道徳的欠陥の発見に努め、友情に基づく適切な助言を与え、貧困者が貧困から抜け出せるように援助した。この考え方の背景には、貧困を個人の責任と考える自由主義的貧困観があった。
ロンドンCOSは独自の活動として貧困者世帯への友愛訪問をおこなった。貧困者の調査や面接相談、家庭訪問という現在の社会福祉援助の原型となった点で、社会福祉の近代化と職業化の歴史にとって極めて重要なも...