『消費者購買行動』における消費者は、経済学の消費者と比べ必ずしも最大効用を求めないことが大きな特徴だ。予算制約線と無差別曲線が交わったところで何か品物を購買するとは限らないのである。それらの線の交点以外で購買する場合もあるということだ。それが両者の一番の違いといってもいいかもしれない。もちろん最大効用を求めようとするが、なにか品物を買うまでに自分であらゆる情報詮索をし、それとともに企業のマーケティング要因や個人的・心理的要因、消費者情報処理要因といったあらゆる影響を受けて購買するのである。例えば食欲を肉と米でみたそうとすると、自分の得られる最大効用に従って肉と米をどのくらい買うかを決めるとは限らずに、社会的要因の家族の影響を受け、肉を多めに買うということもありえるのだ。消費者購買行動の消費者はなにか買うにしても、CMでよく流れているとか(企業マーケティング要因)、予算(買い物リソース)、家族や友達の意見(社会的要因)などを考慮して実際はこの商品のほうが自分にとって最大効用になるのに、妥協して違う商品を買うこともあるのだ。他にも消費者購買行動の消費者は商品を買った後、消費・使用・保有をし、その商品に対する満足・不満足を企業にフィードバッグするのだ。そして今回の購買行動によって様々な教訓を得て次の購買行動に役立てようとするため、経済学の消費者とは違い消費に連続性があると考える。
このような違いが経済学の消費者と消費者購買行動の消費者にはあったと私は二つの教科書を読んで思った。
『入門経済学』の教科書と『消費者購買行動』の教科書で示された消費者の特徴について書き、違いを説明していこうと思う。消費者の辞書的な意味を調べると、欲望の直接・間接の充足のために財・サービスを消耗する行為者と書いてあった。一年の時に経済学で扱った教科書『入門経済学』と商業学で現在扱っている教科書『消費者購買行動』に登場する消費者の意味合いから言えば、『入門経済学』における消費者のほうが辞書的な意味に近いだろう。なぜなら欲望の直接・間接の充足のために消費をするという点が経済学の消費者の特徴に類似しているからだ。
『入門経済学』における消費者は、まず限られた予算にしたがって自分の欲する物を買う。それが食べ物の場合を考える。ここで消費者の代表としてA子さんを使う。A子さんは限られた予算のなかで自分の食欲を満たす食べ物を選ぼうとする。仮に肉と米によって食欲をみたすことを考えるとA子さんは自分が一番満足するように、最大効用を満たすべく肉と米をどのくらい買うかをきめるだろう。つまり予算制約線と無差別曲線が交わるところで肉と米を購買するのである。そこが『入門経済学』の消費者の一番の特徴であると考える。...