1.ナノテクノロジーとは何か
ナノテクノロジー(nanotechnology)とは何か。三省堂「デイリー新語辞典」によれば、ナノテクノロジー(以下ナノテク)は、「ナノ(10億分の1)メートルの精度を扱う技術の総称」と解説されている。
より詳しく見れば、独立行政法人物質・材料研究機構理事の吉原一紘氏は、ナノテクを「物質の特性を決定する構造(例えば、結晶の大きさ、膜の厚さ、粒子の直径など)の少なくとも一つが、ナノメートル(nm:1メートルの10億分の1)で定義できる大きさを持った物質を創製すること、及びそれらの物質を組み合わせて、コンピューターや通信装置、微小機械などを創製する技術」と定義している。
こうしたナノテクは、機械・装置の超小型化や、電子材料、医療分野への応用など様々な分野への応用が期待されている。例えばトランジスタや半導体を小型化することが出来れば、コンピュータをより小型化することが可能となる。また医療分野では、ナノマシンなどを利用した遺伝子治療の可能性についても基礎研究が進んでいる。
2.ナノテクノロジーに関する政策的動向
ナノテクを最初に国家戦略として位置づけたのは、アメリ...